紙貼り障子の断熱性能はどれくらい?
障子の断熱性能は?
和室には欠かせない「障子」は、昔から広く使われている優れた建具です。
外からの光を取り込む明かり取りとしての役割だけでなく、入ってきた光を拡散したり、目隠し、調湿、断熱・遮熱など、様々な役割があります。
雪見障子のように内から外の景観を見るための障子などもあります。
和室の障子は、開閉のための鴨居や敷居(上下の溝レール)が設えられており、建具として窓全体をカバーしてくれます。サッシの周りに空気の出入りする隙間が比較的少ないので、窓と障子の間に空気層ができます。空気は熱を伝えにくい性質がありますので、断熱性がある程度確保できます。ただ、和紙に通気性があるため密閉された空間にはなりません。
住宅建材の断熱性を表す指標として、「熱貫流率」という数値があります。熱貫流率は数値が小さければ小さいほど熱を伝えにくく、断熱性能が高いとされます。
一般的な窓によく使われているアルミサッシと透明3mmガラスの熱貫流率は「6.5」しかありません。このアルミサッシに障子があった場合、熱貫流率は「4.8」に改善します。断熱性能を高めてくれる障子ですが、窓に結露が出るような場合は、たとえ障子があっても基本的な断熱性能があまり高くないため、どうしても部屋が温まりにくかったり、冷えやすくなってしまいます。
こうした場合、どうしたら部屋の断熱性能が上がるのでしょうか。
和室の断熱性を上げるには
冬の暖房エネルギーは、ほぼ半分くらいは窓から流出してしまいます。仮に壁にはしっかり断熱材が入っていても、窓は薄いガラス一枚のみだからです。熱は暖かいところから寒いところへ移動しやすく、またサッシに使われるアルミはとても熱を伝えやすい材質であるため、そのままでは暖房しても窓からどんどん暖かさが流出していってしまいます。部屋の断熱性能を高めるには、「窓からの熱の流出を食い止めること」が重要です。
窓からの熱流出を防ぐには、空気の温度が伝わりにくい「密閉された空気層」を窓に設けることが必須になります。
障子はある程度断熱はしてくれますが、先に言ったとおり密閉性はありませんので、どうしても空気の出入りが起き、暖かさを外に逃してしまいます。「密閉された空気層」を窓に設けるには、二通り手段があります。
・今ある窓のガラスをペアガラスに変える(ガラス交換)
・内窓を設ける
ガラス交換
まずガラスの交換ですが、外窓の透明3mmガラスをペアガラスへ交換すれば、熱貫流率は「3.2」に向上します。
ペアガラスとは、2枚の透明3mmガラスの間に乾燥空気を封入した複層構造のガラスです。(右図)
このガラスの間にある乾燥空気が室内の暖かさを外に逃さず、また外からの冷気を防いでくれます。
しかし、ガラス交換の場合はガラスは変わってもアルミサッシはそのままなので、窓枠のアルミ部分から熱が逃げる、窓枠に結露が出る、ということがあり得ます。
内窓の設置
障子の代わりに内窓を設置すると、ガラス交換をした場合よりも断熱性能がさらに良くなります。内窓を設置することで窓と室内の間に密閉された空気層ができ、窓全体をしっかりカバーします。
内窓に入れるガラスは、いろいろな種類があります。たとえば高断熱ペアガラスの内窓を設置した場合、熱貫流率は「1.7」となります。
高断熱ペアガラスとは、室外側に透明3mmガラス、室内側に3mm厚の特殊金属膜(Low-e)加工したガラスを使用した複層構造のガラスで、ペアガラスより断熱性能が高いガラスです。(右図)
高断熱ペアガラスは透明なので、和室に入れる場合は視線カットができないため、別途カーテンなどをプラスする必要があります。しかし断熱性能が上がりぐんと暖かくなりますので、是非オススメしたいガラスです。
アルミサッシ+透明3mmガラス+障子の場合は熱貫流率が「4.8」でしたが、高断熱ペアガラスの内窓=熱貫流率「1.7」を設置することにより、約3倍の断熱性能を持つことになります。
内窓を設置することでお部屋の暖かさが全く変わり、より過ごしやすくなります。
内窓をDIYで取付けすることも可能ですので、下記もご参考ください。和室への内窓の取付け方(前準備)を解説しています。